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電子契約に印紙税はかからない?国税庁の回答と、紙のままだと消える金額を契約書の種類別に整理【2026年版】
国税庁は「電磁的記録は文書に含まれない」と明言しています。紙のままだと第2号文書で最大60万円、第7号文書で1通4,000円。電子契約に切り替えると消える金額を、契約書の種類別に実額で並べました。
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この記事でわかること
- 電子契約に印紙税がかからない根拠が、国税庁のどの回答に書いてあるか
- 紙のままだと1通いくら貼るのか(第2号文書・第7号文書の実額)
- 「電子化したのに印紙が必要だった」と言われる典型パターン
- 印紙代の削減額から、月額いくらまでなら電子契約サービスが元を取れるか
結論(3行)
- 国税庁は「電磁的記録は文書に含まれません」と明言している。 電子契約書に印紙税は課税されない(質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」/関係法令通達:印紙税法第2条)。
- 消える金額は契約書の種類で桁が変わる。 業務委託の基本契約(第7号文書)なら1通4,000円、請負契約(第2号文書)なら契約金額次第で200円〜60万円。
- 年間の印紙代を12で割った額が、電子契約サービスの月額の上限ライン。 第7号文書を年24通交わす会社なら年96,000円=月8,000円までは印紙代だけで元が取れる計算になる。
根拠:国税庁は何と答えているか
国税庁の質疑応答事例に、建設工事の注文請書を「書面で作成することに代えて、電磁的記録に電子署名を付して電子メールで送信している」ケースの照会が載っています。回答は次のとおりです。
印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。したがって、おたずねの電磁的記録に印紙税は課税されません。
(出典:国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」/関係法令通達 印紙税法第2条/令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく)
ポイントは、「電子契約だから安くなる」ではなく「そもそも課税物件である文書が存在しない」という理屈だという点です。だから割引でも特例でもなく、金額は丸ごとゼロになります。
なお国税庁は同じページで「照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答」であり、具体的な取引に適用する場合は異なる課税関係が生じることがある、と注記しています。金額の大きい契約は顧問税理士か所轄税務署に確認してください。
紙のままだと1通いくら貼るのか
第2号文書「請負に関する契約書」
工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、会計監査契約書などが該当します。建設工事のような有形のものだけでなく、警備・機械保守・清掃といった役務の提供も請負に含まれます。
| 記載された契約金額 | 税額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 1,000円 |
| 300万円超500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
| 1億円超5億円以下 | 10万円 |
| 5億円超10億円以下 | 20万円 |
| 10億円超50億円以下 | 40万円 |
| 50億円超 | 60万円 |
(出典:国税庁 タックスアンサー No.7102「請負に関する契約書」/令和8年4月1日現在法令等)
建設工事の請負契約書のうち契約金額が一定額を超えるものは、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成するものについて軽減措置があります(No.7108)。軽減措置には期限があるので、紙運用を続ける前提で予算を組むときは注意してください。
第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」
税額は1通につき4,000円の定額です。 売買取引基本契約書、下請基本契約書、代理店契約書などが該当します。ただし、契約期間が3か月以内でかつ更新の定めがないものは除かれます。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.7104「継続的取引の基本となる契約書」/令和8年4月1日現在法令等)
中小企業で数が出るのはこちらです。定額なので 「通数 × 4,000円」でそのまま年間削減額が出ます。
「電子化したのに印紙が必要だった」と言われる典型パターン
電子契約に切り替えたつもりでも、次のような運用が混ざると紙の文書が発生します。
- 締結だけ電子で、控えを紙に印刷して押印し直している。 印刷しただけの写しは課税されませんが、そこに署名や押印を加えて契約の成立を証する原本として扱うと、課税文書とみなされる余地が出ます(国税庁 No.7120「契約書の写し、副本、謄本等」)。
- 相手方が紙を求めるので、自社は電子・相手は紙という二重運用になっている。 この場合、紙で作成した側の文書には印紙が必要です。
- 契約は電子だが、変更契約や覚書だけ紙のまま。 金額の変更を伴う覚書は、それ自体が課税文書になることがあります。
電子契約サービスを選ぶときに見るべきは「締結できるか」より「紙に戻る経路が残っていないか」です。
月額いくらまでなら元が取れるか
印紙代だけで見た損益分岐は単純です。
| 年間の契約通数 | 種類 | 年間の印紙代 | 月額換算 |
|---|---|---|---|
| 12通 | 第7号(4,000円) | 48,000円 | 4,000円 |
| 24通 | 第7号(4,000円) | 96,000円 | 8,000円 |
| 60通 | 第7号(4,000円) | 240,000円 | 20,000円 |
| 12通 | 第2号・1,000万円規模(2万円) | 240,000円 | 20,000円 |
この月額換算より安いサービスなら、印紙代だけで投資回収できます。 業務時間の削減や郵送費はここに乗せていないので、実際の分岐点はもう少し手前に来ます。
逆に、年に数通しか契約書を作らない会社は、印紙代を理由に電子契約を導入しても回収できません。 その場合は「保管と検索」に価値を見いだせるかで判断してください。
電子契約サービスの簡易比較
| 観点 | 締結中心のサービス | 管理も担うサービス(KANBEI SIGNなど) |
|---|---|---|
| 送信・締結 | ◎ | ○ |
| 締結後の検索・台帳 | △ | ◎ |
| 更新期限のアラート | △ | ◎ |
| 料金の分かりやすさ | ◎ 公開が多い | △ 問い合わせが必要なことが多い |
※◎○△は編集部の相対評価です。最新の仕様・料金は必ず公式サイトでご確認ください。
向いている人
- 業務委託の基本契約(第7号文書)を年10通以上交わしている。 定額4,000円が効いてくる通数です。
- 請負契約で1,000万円を超える契約書を扱う。 1通2万円以上が消えるので、1件で年間コストを回収できることがあります。
- 契約書の保管場所を人に聞かないと分からない状態になっている。 印紙代より探す時間のほうが高くつきます。
向いていない人
- 年間の契約書が数通で、しかも1万円未満(非課税)が中心。 削減額がほぼ立ちません。
- 取引先の大半が紙の押印を要件にしている。 二重運用になって印紙代は減らず、手間だけ増えます。
- 契約書の様式を法務部門が完全に固定していて変更に時間がかかる。 導入より社内調整が先です。
導入前に確認したい点
- 自社の契約書が第何号文書なのかを1年分数える。 ここが決まらないと削減額は計算できません。
- 相手方が電子締結に応じるかを、上位10社だけでも先に聞く。 応じない相手が多いと分岐点が遠のきます。
- 料金が非公開のサービスは、問い合わせ前に4つの数字を固めておく。 年間の締結件数/利用人数/保管する文書量/保管年数。これが無いと見積もりが比べられません。
- 補助金プランを前提に計算しない。 補助金の採択は保証されておらず、通常価格で元が取れるかを先に判断すべきです。
よくある質問
Q. 電子契約書をPDFで印刷して保管すると印紙が必要になりますか。
A. 単に印刷して保管するだけの写しは課税文書には当たらないと整理されています。ただし、印刷したものに改めて署名・押印して原本として扱うと課税される余地があります(国税庁 No.7120)。運用ルールを文書化しておくのが安全です。
Q. 電子署名がなくても印紙税はかからないのですか。
A. 国税庁の回答は「電磁的記録は文書に含まれない」という理由なので、課税の有無は電子署名の有無で決まる建て付けにはなっていません。ただし電子署名は契約の成立や改ざん防止を証明する別の目的で必要になります。
Q. 契約金額が1万円未満なら電子化するメリットはありませんか。
A. 印紙代の面ではメリットがありません(非課税のため)。郵送費・保管・検索の面で判断してください。
Q. 過去に紙で交わした契約書をスキャンすれば印紙代は戻りますか。
A. 戻りません。すでに作成された課税文書に対する納付なので、遡っての還付はできません(誤って過大に貼った場合の過誤納還付は別の手続きです)。
まとめ
電子契約で印紙税がゼロになるのは、値引きではなく 「課税対象である文書が存在しないから」 です。だから削減額の計算は、割引率ではなく 「今その契約書に何円貼っているか × 年間通数」 で出せます。第7号文書なら1通4,000円、請負契約なら金額次第で200円〜60万円。ここを数えてから、月額と比べてください。